洛風林について

「真実(ほんとう)に美しいものは常に新しい


初代堀江武は、1907年(明治40年) 北陸越前武生の呉服商に生まれました。

当時西陣帯地界の重鎮と言われ、豊富な識見と卓抜な審美眼を持った三宅清治郎氏(洛園翁)の元に奉公に入り、ものづくりを任されるようになると当時の新進気鋭の図案家たちと共に帯の製作に励みます。

この時、三宅氏から名付けて頂いた若手の染織研究グループ名が「洛風林」でした。

自らを「マスター」と呼ばせ、お洒落で映画好きな遊び心ある人物であった三宅氏と10代から長年を共に過ごした堀江はその影響を大きく受け、その後のものづくりに対する姿勢を築きました。

三宅氏の多大な薫育を受けて心技を育んだ後、1952年(昭和27年)にそのグループ名を頂戴許され「工芸帯地 洛風林」を創業。機屋、織り手たちを「同人」と呼び、共に切磋琢磨してものづくりをしていく為の勉強会や、意見交換できる場を積極的に作ったのも、修行時代の経験からと言えるでしょう。

海外旅行というものが珍しかった時代に世界中を旅し、古今東西の美術工芸品から感じ取ったイメージを帯にするという独特の作風から、西陣では異端児とも言われていた堀江武ですが、芸術への深い造詣と共に、様々な趣味に通じていたことから当時の文化人との親交も多く、またその交流の中で生まれたアイデアを俊敏にものづくりに活かしてきました。

洛風林のものづくり

初代の時代から長年に亘り、世界中から蒐集した古美術品や工芸品の資料を参考にデザインした帯は、単に図柄を写すだけのものではなく、素材や織り方によっても表情を変えています。

その主題はコプト文化やシルクロードで見られる多様な装飾美術、アフリカのプリミティブな作品、温かみのある世界各国の工芸品…

いずれも深く楽しんだ上で、帯という空間に落とし込んでいます。

「真実に美しいものは 常に新しい」という初代からの信条の通り、古くからあるものへの敬愛を持ちながら、いつの時代にも新鮮で心躍るものづくりを心掛けております。

出会った方が、どんな時代にも楽しんで愛でて頂ければ幸いです。                             

工芸帯地洛風林 


洛風林資料館「織園都」

二代目堀江徹雄は、初代の頃からの収集品を保管、研究する為の資料館「織園都(オリエント)」を1975年(昭和50年)に創設。染織研究とデザインの源となる作品資料、そして図書資料を所蔵しています。

この資料館では作り手たちの学習の場として勉強会などを行う他、収集品に関係する研究者や学生との交流の場としても使用されてきました。(只今「織園都」は一般公開しておりません。)


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